【プロの技術を学ぶ】ChatGPTの「プロンプト」書き方完全ガイド:期待以上の成果を出すための7つのコツ

なぜ、あなたのChatGPTの回答は「普通」になってしまうのか?
ChatGPT は、メール作成、資料の素案作り、アイデア出しなど、ビジネスシーンで強力な力を発揮する生成AIです。米OpenAI社によって開発されたこのAIは、膨大な学習データに基づき、従来のAIとは異なり創造的かつ柔軟な回答を生成できます。
しかし、「誰でも思いつくような一般的な回答しか得られない」「出力の品質が安定しない」と感じている方もいるかもしれません。
ChatGPTの回答の質は、ユーザーが入力する指示文(プロンプト)の質に完全に依存しています。機能やメニューが詳細に分かれていないChatGPTでは、プロンプトをいかに工夫できるかが、業務効率化を左右する最大の鍵となります。プロのプロンプトは、最初からゴールや読者、文体、文字数、必要項目を明確化しているため、適切な方向性&高い完成度を一度で得やすいという大きなメリットがあります。
ここでは、初心者の方が「一般的な回答」から脱却し、実務で使えるオリジナリティの高い出力を引き出すためのプロンプト作成の基本と、プロのテクニックを解説します。
プロンプトとは?アウトプットの質を左右する「指示文」
プロンプトの定義と重要性
プロンプト(Prompt)とは、ChatGPTに対して実行してほしい作業や質問内容を伝えるためのテキスト入力、すなわち指示や命令文を指します。
プロンプトは単なる質問ではなく、AIのアウトプットに直接影響を与える基本的なスキルであり、その書き方次第で、生成される結果が「使えるもの」にも「使いにくいもの」にもなります。プロンプトの内容が具体的で明確なほど、AIはユーザーの意図を正確に読み取りやすくなります。
代表的な3つのプロンプトの「型」
目的に合わせてプロンプトの「型」を意識して使い分けることで、より望ましい答えを返してもらえるようになります。
プロンプトの型 | 特徴 | 使用例 |
---|---|---|
Instruction(命令)型 | AIに具体的なタスクの実行を直接指示する。ビジネスで最もよく使う構文。 | 「この文章を400文字程度に要約してください」。 |
Completion(補完)型 | ある文章を入力し、それに続く文章を記述してほしいときに使う。 | 「オムレツの上手な作り方は~」と入力し、続きを生成させる。 |
Demonstration(実演)型 | 複数の例示を示し、内容を学習させた上で、例をもとに推測して答えを返してもらう。 | 「悲しい=マイナス、楽しい=プラス」といった例示を与える。 |
オリジナリティを引き出すための7つの「プロのコツ」
プロのプロンプト設計は、単なる質問ではなく、目的の具体化、要素の網羅性、そして継続的な検証に焦点を当てています。回答の品質を高め、オリジナリティのある(つまり、他と差別化された、高度にカスタマイズされた)出力を得るための具体的なコツを紹介します。
コツ1:立場(役割)を明確に指定する
プロンプトの最初に、ChatGPTに特定の役割を演じるよう指示することで、出力の品質と専門性を向上させられます。
「あなたは優秀な編集者です」、「あなたはわかりやすい説明で評判の数学の塾講師です」、「あなたはIT業界のアナリストです」
コツ2:目的(ゴール)を3ステップで具体化する
一般的なプロンプトが「〇〇を教えてください」と尋ねるだけなのに対し、プロのプロンプトは「何を」「誰向けに」「どんな形式で」の3ステップで目的を明確にします。
- 何を: 要約、企画書、レポートなど。
- 誰向けに: 顧客向け、上司向け、社内会議用など。
- どんな形式: 文字数、文体、使用データの範囲。
これにより、AIは方向性を掴みやすくなります。
コツ3:制約条件と出力形式を定量的に設定する
回答のブレや不足を抑え、安定した品質を確保するため、具体的な制限を設定します。定量的(数値的)な出力方法を指定すると、意図が伝わりやすくなります。
文字数(例:300文字以内)、文体(例:敬体/ですます調)、形式(例:箇条書き、表形式)。
コツ4:参考情報や文脈を過不足なく与える
質問に必要な情報や背景(コンテキスト)を事前に提供することで、ChatGPTの理解を深め、質の高い回答を得ることができます。コンテキストが不足すると、AIはユーザーの意図を完全に理解できず、出力が不正確になる可能性があります。
質問の前に「以下のデータや情報を読んだら『YES』と言ってください」と元のアンケートデータを与える。
コツ5:「何をすべきか」を明確に強調する
プロンプトでは、「何をしないべきか」という否定的な指示(例:「余計な情報は含めないでください」)よりも、「何をすべきか」という具体的な行動を指定する方が、AIは適切に指示を理解します。
コツ6:具体的サンプル(例)を提示する
AIに期待する出力の形式や内容を例として提供すると、AIはそのパターンに基づいて生成する可能性が高くなります。これにより、同系統の構成を再現しやすくなります。
コツ7:繰り返し検証(改善サイクル)を行う
一度のプロンプト入力だけで理想通りの回答が得られるとは限りません。最初の回答が理想と異なる場合でも、その結果に対して「もう少し簡潔に」 や「具体例を増やして」 といった追加の指示やフィードバックを与えることで、精度は高まります。この改善サイクルを回すことが、結果的に最短ルートになることが多いです。
応用テクニック:プロが使う高度なテンプレート
基本に慣れたら、より複雑なタスクや深い思考をAIに促すための応用的なテンプレートを活用しましょう。
応用1:深津式プロンプトシステム
noteのCXOである深津貴之氏が考案したフレームワークです。AIの役割、制約条件、入力文、出力形式を明確に指定します。細かく条件を指定するため入力に時間がかかる場合もありますが、その分、出力の品質が上がり、修正の手間が減る可能性があります。
#命令書:
あなたは{プロの編集者}です。
以下の制約条件と入力文をもとに、{最高の要約}を出力してください。
#制約条件:
・文字数は60文字程度
・中学生にもわかるように
・重要なキーワードを取りこぼさない
#入力文:
(ここに処理させたい文章を入力)
#出力文:
(ここに求める具体的な結果や形式を明示する)
参考サイト
深津式プロンプト・システムでChatGPTを最大限に活用する方法
あなたの仕事が劇的に変わる!? ChatGPT使いこなし最前線
応用2:ReActプロンプト
ReAct(Reasoning and Acting:推論と行動)は、「Thought(思考)」「Action(行動)」「Observation(観察)」の3つのステップを繰り返す手法です。AIが外部の情報を用いながら、論理的な思考(Thought)を行い、解決策を実行(Action)し、その結果を観察(Observation)するため、より正確で信頼性が高い答えを提供することが可能です。初めてのタスクや不明確なタスクに特に有用です。
(解決したい課題)の解決方法を教えてください。
・Thought:
・Action:
・Observation:
参考サイト
ReActプロンプトとは?ChatGPTでの活用例やコピペで使えるテンプレート
https://miralab.co.jp/media/react_prompt/
ReActプロンプトとは?マーケティングへの活用法も詳しく解説!
株式会社アドカル ReActプロンプトとは?マーケティングへの活用法も詳しく解説! | 株式会社アドカル ChatGPTに興味を持って調べている中で、「ReActプロンプトって何?」「ReActプロンプトの活用事例は?」「ReActプロンプトってマーケティングに活かせるの?」といった疑問...
応用3:ゴールシークプロンプト
これは、ユーザーが持つ目的のための最適なプロンプト自体を、ChatGPTに作成させるための手法です。質問と回答のやり取りを繰り返すことで、完成度の高いプロンプトに仕上げていきます。
「あなたは優秀なプロンプトエンジニアです。以下のプロセスに従って、私に質問しながら、ChatGPTへのプロンプトを一緒に考えてください。」
参考サイト
【ChatGPT】これだけ覚えればOK?ゴールシークプロンプトが誰でも使えて最強すぎた
https://note.com/k_masaki/n/n3089b04a688f
ゴールシークプロンプトとは?例文付きで解説|深津式・シュンスケ式
株式会社アドカル ゴールシークプロンプトとは?例文付きで解説|深津式・シュンスケ式 | 株式会社アドカル この記事でわかることゴールシークプロンプトの基本と活用方法ゴールシークプロンプトの具体例ゴールシークプロンプトのメリットやデメリット監修者プロフィール谷田 朋...
実務で役立つ!すぐに使えるプロンプト例文集
ここでは、業務効率化に直結する具体的なプロンプト例文をご紹介します。
- あなたはわかりやすい説明で評判の数学の塾講師です。 「インボイス制度」に関して、初心者に向けて明瞭でわかりやすい言葉を使って段階的に解説してください。専門的な言葉や複雑な考え方が出てきたら、それを理解しやすくするための例や比喩を用いて詳しく説明してください。
-
インボイス制度とは?
2023年10月から始まった「消費税の新しいルール」です。
お店やフリーランスが出す請求書の書き方が変わりました。
なにが変わったの?
今までは、普通の請求書でも「仕入れの消費税」を引いて計算できました。
これからは、国に登録した人だけが発行できる
「インボイス(=正式な請求書)」が必要になります。
たとえば…
あなたが材料を買う側だとします。
仕入れ先が「インボイスを出せる人」なら、今まで通り消費税を差し引けます。
でも「インボイスを出せない人」から買うと、
その分の消費税を自分で負担しなければいけません。
登録ってなに?
インボイスを発行するには、
「適格請求書発行事業者」として税務署に登録が必要です。
登録すると「T+13桁の番号」がもらえます。
その番号を請求書に書けば、インボイスになります。
小さな事業者はどうすればいい?
登録する → 取引先が安心して取引できる(でも消費税を納める必要あり)
登録しない → 消費税を納めなくていいけど、取引先が減るかも
結論
インボイス制度とは、
「正式な請求書(インボイス)」がないと、消費税の控除ができないルール。
だから、売る側も買う側も「登録してるか」が大事になります。
- あなたは飲料メーカーの社員です。新しい紅茶の名称をコンセプトに沿って5つ考えてください。
コンセプト:
・マスカット果汁入り
・働いている女性向け
・さわやかな印象 -
いいですね、コンセプトがすでに香り立つようです。
「マスカット × 働く女性 × さわやか」――つまり、上品だけど気取りすぎず、日常にすっと寄り添う紅茶をイメージですね。
以下、そんな雰囲気に合うネーミング案を5つ挙げます。
Lumière Muscat(ルミエール・マスカット)
「光」という意味のフランス語“Lumière”を使い、働く女性の日常にさわやかな光を差すような印象に。
Grace Tea Muscat(グレイスティー・マスカット)
“Grace”は「優雅さ」「品のよさ」。オフィスでの一息にも似合う、上品で落ち着いた印象。
Bloom Moment(ブルーム・モーメント)
“Bloom”=咲く。仕事の合間に気分がふっと花開くような瞬間をイメージ。香るようなネーミング。
Shine Leaf Muscat(シャインリーフ・マスカット)
“Shine”と“Leaf”を合わせて、紅茶の葉とマスカットの輝きを重ねた爽やかな響きに。
Clear Days Tea(クリアデイズ・ティー)
透明感とリフレッシュ感を強調。疲れをリセットして「また前を向ける一杯」というメッセージ性。
どれも「やさしくて芯のある女性」をイメージしています。
より“日本語寄り”や“可愛らしいトーン”でまとめたい場合は、その方向でも作り直せます。
- あなたは不動産を取り扱っている優秀な営業スタッフです。以下の条件に基づき、取引先からのメールに対して返信メールを作成してください。
取引先からのメール :
お世話になっております。△△株式会社の□□です。
先日は物件のご提案をいただき、誠にありがとうございました。
社内で内容を確認のうえ、改めてご連絡させていただきます。
引き続きよろしくお願いいたします。
条件 :
文字数 : 350文字以内
丁寧な文章で簡潔な出力
「です」「ます」調 -
件名:ご提案物件についてのご確認ありがとうございます
―――――――――――――――――――――――――
△△株式会社
□□様
お世話になっております。〇〇不動産の〇〇です。
ご丁寧にご連絡をいただき、誠にありがとうございます。
先日ご提案いたしました物件につきまして、社内でご検討いただけるとのこと、心より感謝申し上げます。ご不明点や追加の資料等がございましたら、どうぞお気軽にお申し付けください。
また、類似条件の物件情報が新たに入りました際には、併せてご案内させていただきます。
ご検討のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
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〇〇不動産株式会社
営業部 〇〇〇〇
TEL:000-0000-0000
MAIL:example@example.com
プロンプト活用における注意点
プロンプトを効果的に活用するためには、以下のリスク管理が不可欠です。
- 機密情報や個人情報は絶対に入力しない プロンプトに入力した情報は、学習データとして利用される可能性や、外部に流出するリスクが考えられます。個人情報や社外秘の機密情報はプロンプトへ直接入力しないよう徹底しましょう。
- 回答内容を鵜呑みにせず、必ず精査する 生成AIは、常に正確な答えを返すとは限りません。誤った回答(ハルシネーション)をすることがあるため、得られた回答は必ず事実確認を行いましょう。回答はあくまで、アイデアや構成案の素案として利用することが重要です。
- 著作権に注意する AIが生成したコンテンツが既存の著作物の影響を強く受けている場合、そのまま利用すると著作権侵害になるリスクがあるため、利用前にチェックが必要です。
まとめ
プロンプトの書き方をマスターすることは、ChatGPTという高性能なツールを最大限に引き出し、業務の生産性を飛躍的に高めるための必須スキルです。
「役割の指定」や「具体的な制約条件の設定」といったプロのコツを取り入れ、改善サイクル(フィードバック)を回すことで、誰でも一般的な回答から脱却し、実務に即したオリジナリティの高い成果を引き出せるようになります。
まずは本記事で紹介したテンプレートや例文を参考に、ご自身の業務で活用してみてください。